クエン酸のドリンクを毎日飲んでいるのに、全然ラクにならない。梅干しも欠かさず食べている。それでも朝から体が重く、夕方にはもう電池切れ。
そんなときに「クエン酸の疲労回復は嘘」という記事を見かけたら、これまでのお金は何だったのかと思うはずだ。
私も同じ道を通った。テレビと広告を信じて、レモン果汁を数年飲み続けていた。結局、踊らされていたのだ。
先に答えを言っておく。クエン酸と疲れの関係は、白か黒かではない。3つに分けると次のとおりだ。
- わかっていること:疲れた感じが軽くなった研究
- わかっていないこと:体の疲れそのものへの効果
- 場面で使えること:運動前後の回復のサポート
毎日飲んでいても、体を壊すような話ではない。
そして、疲れそのものを取りたいなら狙う場所が違う。この記事では、クエン酸の本当の効果から疲れが抜けない人が見直したい栄養までを、一緒に見ていく。
- クエン酸を飲んでも疲れが取れない人
- 「クエン酸は嘘」と聞いて不安になった人
- 運動のあとにクエン酸を飲んでいる人
「クエン酸=疲労回復」は嘘?結論は「説明が違っていた」

「クエン酸で疲れが取れる」は、まるごと嘘ではない。嘘だったのは、効く理由の説明のほうだ。研究もちゃんと存在する。
嘘と本当は、次の3つに分けると整理しやすい。
- 嘘だったのは「乳酸を消して疲れを取る」という説明
- 本当なのは、疲労回復を調べた研究(エビデンス)があること
- 国の機関はクエン酸の効果をどう評価している?
嘘だったのは「乳酸を消して疲れを取る」という説明
クエン酸で疲れが取れると言われてきたのは、2つの説明が広まったからだ。
- 説明1:乳酸を消して疲れを取る
-
運動でたまる乳酸は疲れの原因で、クエン酸がそれを片づけるという説明。今はこの前提が崩れている。
- 説明2:飲めばエネルギー工場が回る
-
クエン酸はエネルギーを作る回路の材料なので、飲めば回路がよく回るという説明。こちらも今は否定されている。
どちらも、体の仕組みの話としては筋が通って聞こえる。信じたのは無理もない。私も信じていた側だ。
実際、梅干しの販売元の中には、今もクエン酸が乳酸の蓄積を抑えて疲れを取ると説明しているところがある。
説明が間違っていただけで、クエン酸そのものが悪者になったわけじゃないのね。
本当なのは、疲労回復を調べた研究(エビデンス)があること
クエン酸で疲れた感じが軽くなった研究は、実際にある。
代表的なのは健康な大人18人が1日2,700mgのクエン酸を8日間飲んだ試験だ。運動したあとの疲れた感じは、プラセボより軽かった。プラセボとは、見た目は同じで中身の入っていない偽物のことだ。
ただ、この試験は決まった強さで自転車を2時間こぐ形で、体の力そのものは比べていない。
もっと大人数の試験もある。飲料メーカーの公式サイトでは、625人が4週間、クエン酸2,700mg入りのレモン果汁飲料を毎日1本飲んだ結果を紹介している。クエン酸を飲んだグループは、プラセボのグループより疲れた感じが軽かったという。
ここで大事なのは、疲れには2種類あることだ。1つは、自分で「疲れた」と感じる疲れ(主観)。もう1つは、血圧や心拍のように数字で見える疲れ(客観)だ。
クエン酸の研究で動いているのは、主に感じる疲れのほうだ。
しかも研究ごとに、運動をしたか、糖質と一緒に飲んだかといった条件が違う。結果をひとまとめにして「効く」「効かない」と言い切るのは乱暴だ。
思い込みの力(プラセボ効果)が混ざっている可能性もある。酸っぱいものを飲んだ感覚だけで、気分は切り替わるからだ。

私は、感じる疲れが軽くなるのも立派な変化だと思っている。毎日を回しているのは、その「感じ」だからだ。ただ、体の中の疲れまで消えたと思い込んで無理をするのは別の話だ。
国の機関はクエン酸の効果をどう評価している?
国立健康・栄養研究所の評価は、人で疲れを取る効果について「信頼できる十分なデータが見当たらない」というものだ。
この評価は、効果がないと証明されたという意味とは違う。まだ十分に確かめられていないという意味だ。テストでいえば0点ではなく、採点がまだ終わっていない状態に近い。
では、店で見かける「疲労感を軽減」の表示は何なのか。あれは機能性表示食品の表示だ。
機能性表示食品は、事業者が安全性と効き目の根拠を、販売前に消費者庁へ届け出るしくみだ。トクホと違い、国が1つずつ審査するわけではない。
クエン酸を成分とする届出は数多く出ている。表示される働きは「疲労感の軽減」に特化している。たとえば「継続的な飲用で日常生活や運動後の疲労感を軽減することが報告されています」という文言だ。
研究が増えれば、評価がくつがえる可能性もある。今の時点では感じる疲れを軽くする可能性がある成分と見るのが、いちばん正確だと私は考えている。
クエン酸を飲む本当の効果5選|運動後の回復とミネラルの吸収


ここからは、クエン酸が体の中で何をしているかと、どんな場面で役立つかを見ていく。飲めば疲れが消える、という話とは別物だ。
クエン酸の効果は、よく言われるものも含めて次の5つに整理できる。
- 効果1:エネルギーを作る「クエン酸回路」のスタート役になる
- 効果2:乳酸を減らす働きは、研究では水と差がなかった
- 効果3:運動後のエネルギーの貯金(グリコーゲン)を戻すのを助ける
- 効果4:鉄やカルシウムの吸収を助ける
- 効果5:尿路結石ができにくい尿に近づける
効果1:エネルギーを作る「クエン酸回路」のスタート役になる
クエン酸は、体がエネルギーを作る回路の最初にできる物質だ。回路の名前も、そのまま「クエン酸回路」と呼ばれている。ざっくり言うと、食べた物をエネルギーに変える体の中の工程である。
食べたブドウ糖や脂肪は、クエン酸回路を通ってATPに変わる。ATPとは、体が使う電池のようなものだ。筋肉を動かすのも頭を働かせるのも、ATPという電池で動いている。
研究でも、動物のエネルギーの大半はブドウ糖と脂肪酸から得られるとされている。クエン酸は燃料ではなく、燃料を電池に変える流れの中の一場面だ。
もう1つ大事なのは、クエン酸は体の中で自分で作り直されることだ。回路が1周すると、また新しいクエン酸ができる。だから体の中で不足することはない。
工場のベルトコンベアに例えると、クエン酸は最初に流れてくる部品だ。部品を外から山積みにしても、組み立てる職人がいなければ製品は増えない。
クエン酸を飲んでも、回路が速く回るわけではない。
効果2:乳酸を減らす働きは、研究では水と差がなかった
男子大学生41人が、運動の30分前か直後に4gのクエン酸を飲み、水だけ飲む条件・何も飲まない条件と比べた研究がある。
30分後までに、乳酸値はどの条件でも61〜65%下がった。クエン酸を飲んでも、水だけでも、何も飲まなくても差は出なかった。乳酸はクエン酸がなくても体が片づけていたわけだ。
そして、もっと大事な話がある。乳酸は疲れの原因ではなかったのだ。
乳酸は、かつて「疲労物質」と呼ばれていた。今は、筋肉が使うエネルギー源の1つと考えられている。乳酸がたくさん出るダッシュでも、あまり出ないジョギングでも、筋肉は疲れる。
乳酸は長年、疲れの犯人として指名手配されていた。ところが調べ直すと、燃料として働く側だった。とんだ濡れ衣である。
効果3:運動後のエネルギーの貯金(グリコーゲン)を戻すのを助ける
運動をすると、体にためてある糖が減る。この糖の貯金をグリコーゲンと呼び、筋肉と肝臓に蓄えられている。つまり、体が動くときにすぐ使える予備の燃料だ。
ラットの研究では、運動後にクエン酸とブドウ糖を一緒に与えた。すると、ブドウ糖だけを与えたときより、肝臓と筋肉の両方で貯金の戻りが大きかった。
一方、クエン酸だけを与えたときは、肝臓の貯金しか戻らなかった。クエン酸は糖と組んだときに力を出すと読める結果だ。ラットの結果なので、人でも同じになるとは限らない。
効果4:鉄やカルシウムの吸収を助ける
クエン酸には、鉄やカルシウムと結びついて吸収を助ける働きがあるとされている。この働きをキレート作用と呼ぶ。2文字で言うと「運び屋」だ。
キレートは、ギリシャ語で「カニのはさみ」という意味だ。カニがはさみでつかむように、ミネラルを抱えて吸収されやすい形にするイメージである。
私がミネラルのサプリを選ぶとき、クエン酸などと結びついた形を選ぶことが多いのも、同じ考え方からだ。
効果5:尿路結石ができにくい尿に近づける
クエン酸は酸なのに、飲むと尿を酸性でなくする方向に働く。口から入ったクエン酸は、吸収されたあとほぼ完全に重炭酸に変わるからだ。
重炭酸は、酸を打ち消す側の物質だ。その結果、尿のアルカリ度と尿の中のクエン酸が増える。尿の中のクエン酸には、結石の元になる結晶をできにくくする働きがある。アルカリ度とは、酸性からどれだけ遠いかを表す目安だ。
カルシウム結石の患者10人の研究では、クエン酸入りのアルカリ飲料を1日2回飲んだ。水だけのときより尿のクエン酸が増え、結石の元になる成分の濃さも下がった。
ただし、柑橘の果汁で再発そのものが減るかは、研究によって結果が食い違う。水以外の飲み物で予防をはっきり示した試験は、まだない。
米国腎臓財団は、1日4液量オンス(約120mL)のレモン果汁を水で割って飲めば、ふつうは尿のクエン酸とアルカリ度を上げるのに足りるとしている。
クエン酸の効果を実感しやすいのは運動する人


クエン酸の出番がいちばんはっきりしているのは、運動の場面だ。
マウスの研究では、運動の前にクエン酸を与えると疲れが軽くなった。一方で、泳いで疲れ切った直後に与えても、回復を早める効果は見られなかった。
つまり、クエン酸は動く前に仕込んでおく準備役に近い。疲れ切ってから飲む回復薬とは、役割が少し違う。
運動の力そのものを調べた研究もある。体の中の酸を打ち消すサプリ(研究では緩衝剤と呼ばれる)をまとめた大きな分析では、189本の論文と2,019人分のデータが調べられた。
緩衝剤のサプリ全体では、運動の力にプラスの効果が出ていた。その中でクエン酸ナトリウムは30件の研究があり、重曹より効き目が小さいという位置づけだった。
クエン酸ナトリウムは、飲料に入っているクエン酸と同じものではない。クエン酸にナトリウムがくっついた、別の形だ。
格闘技の選手を対象にした分析でも、重曹やクエン酸ナトリウムは「有望だが研究が足りない」とされた。強い根拠があったのは、カフェインだけだった。
人で運動前のクエン酸が疲れを軽くするかは、マウスほどはっきりしていない。
それでも私は、筋トレの前にレモン水を飲んでいた時期がある。数値の変化はわからない。ただ、酸っぱさで「さあやるか」と気持ちが切り替わる感覚は確かにあった。
試すなら、運動の前に飲む日を決めて体の感覚をメモしておくと、自分に合うかが分かる。
クエン酸を使うなら知っておきたい摂り方


クエン酸を続けるなら、何と一緒に、いつ、どれだけ摂るかを押さえておきたい。
摂り方のポイントは、次の4つだ。
- クエン酸と相性の良い栄養素
- クエン酸を飲むタイミングは運動の前後。寝る前は避ける
- クエン酸を1日に摂る量の目安
- クエン酸の取りすぎから歯と胃を守る飲み方
クエン酸と相性の良い栄養素
クエン酸と組ませたいのは、鉄とカルシウム、そして運動後の糖質とタンパク質だ。
レバーや小魚のように鉄やカルシウムが多い食事に、レモンや梅干しを合わせる。クエン酸のミネラルと結びつく働きを生かしやすくなる。
運動後は、おにぎりとプロテインのように糖質とタンパク質をそろえ、そこにクエン酸を足す。糖の貯金を戻す材料と、筋肉の材料が一度にそろう。
クエン酸を飲むタイミングは運動の前後。寝る前は避ける
クエン酸を飲むタイミングは、運動の前でも後でもいい。
疲れを軽くしたい狙いなら、前に書いたマウスの研究のように運動の前に飲む手がある。
避けたいのは寝る前だ。国の研究機関がまとめた健康食品の解説では、歯を守るために寝る直前は避けるよう勧めている。
クエン酸を1日に摂る量の目安
クエン酸の量は、研究や商品で使われてきた量を目安にすると考えやすい。決まった上限の線とは違う。
代表的な量を、次の表にまとめた。
| 場面 | クエン酸の量 | 出どころ |
|---|---|---|
| 疲労感の機能性表示食品 | 約2,700mg〜 | 届出の目安量 |
| 乳酸を調べた研究 | 4g | 男子大学生41人の研究 |
| 梅干し1粒 | 約0.3g | 梅干しの販売元の記載 |
梅干しで2,700mgをまかなおうとすると、計算上は9粒ほどになる。塩分を考えると、毎日の量としては現実的ではない。
安全性の面では、食品の国際的な評価機関が、クエン酸の1日摂取許容量を「制限しない」と評価している。1日摂取許容量とは、毎日一生とり続けても問題がないとされる量のことだ。
国内でも、機能性表示食品の目安量で体に悪いことが起きたという報告はない。
ただ、量が多いほど良いわけではない。海外の医療情報サイトでは、大量にとることの安全性ははっきりしないとされている。妊娠中や授乳中の人は、食品に含まれる程度にとどめたい。
クエン酸の取りすぎから歯と胃を守る飲み方
クエン酸を続けるなら、いちばん気にしたいのは歯だ。
歯が酸で溶けることを、酸蝕症(さんしょくしょう)と呼ぶ。虫歯とは違い、細菌が関わらない化学的な溶け方だ。国の研究機関の解説では、pH1.5〜2.5の強い酸性のもとで、クエン酸の歯を溶かす力は塩酸の2倍とされている。
市販の飲み物に多いpH3.8でも、30秒さらしただけで歯の表面が削れたという実験がある。濃いほど傷は大きかった。別の研究では、pH3.3のクエン酸に30秒さらすと歯の表面の硬さが変わった。
心強い話もある。中和したクエン酸は、歯の成分をほとんど溶かさなかった。問題は、酸っぱいまま歯に長く触れることだ。
歯を守る飲み方は次の5つだ。
- ストローを使って飲む
- 口にためずにすぐ飲み込む
- 乳製品と一緒にとる
- 寝る直前に飲まないようにする
- 飲む量と回数を減らす
胃についても一言。柑橘の酸は胃酸を増やすことがあり、人によっては胸やけが出る。胸やけが続く人は、量や飲む場面を見直してほしい。
私がレモン果汁をやめてビタミンCに切り替えた理由


クエン酸で疲れが取れる話を、私はテレビと広告で知った。疑いもしなかった。
それから数年、疲れを取るつもりでレモン果汁を飲み続けた。途中でクエン酸にも手を出し、数か月は続けた。健康にいいと聞けば何でも飛びつく性分が、ここでも全開だった。
変化はどうだったか。正直、よくわからなかった。
今は酎ハイに入れていたレモン果汁を、ビタミンCの粉末に置き換えている。
お酒をすすめる話ではない。どうせ飲んでしまう自分のために、入れる中身を変えただけだ。
クエン酸とビタミンCは酸っぱさが似ているが、別の物質だ。疲れに手応えがあったのは、ビタミンCとB群のほうだった。
植物や多くの動物はビタミンCを自分で作れるのに、人は作る力を失ったので、毎日外から入れるしかない。米国の研究所のまとめでは、ビタミンCは脂肪をエネルギーに変えるカルニチン、活動モードのスイッチになるノルアドレナリン、肌や血管の材料のコラーゲンを作るのに使われる。ビタミンCが足りないと疲れやすくなる理由の1つも、ここにあると考えられている。
レモン果汁100gに入っているビタミンCは50mgだ(日本食品標準成分表 八訂 増補2023年)。私が使う1gをレモン果汁でとろうとすると、約2L(2,000g)を飲む計算になる。これでは酎ハイではなく、焼酎をたらしたレモン果汁だ。
クエン酸を今飲んでいるあなたには、次の3つの選択肢がある。
- 味や運動のために続ける
- きっぱりやめる
- 疲れ対策として別の栄養を足す
どれを選んでも間違いではない。踊らされていたと気づいても、自分を責めなくていい。材料を変えればいいだけだ。
疲れが抜けない人が見直したいビタミンB群と鉄


疲れそのものを軽くしたいなら、見直したいのはエネルギーを作る回路の部品だ。
ここで扱う中身は、次の3つだ。
- クエン酸回路を回すのはビタミンB群・鉄・マグネシウム
- 疲れ対策にはビタミンB群とビタミンCを十分な量で
- お金をかけるならクエン酸よりエネルギーを作る材料に
クエン酸回路を回すのはビタミンB群・鉄・マグネシウム
クエン酸回路を回す職人の正体は、ビタミンB群・鉄・マグネシウムだ。
クエン酸回路の中では、たくさんの反応が順番に起きている。つまり、細胞の中にあるエネルギー工場の流れ作業だ。
ビタミンB群は反応を進める相棒役で、鉄やマグネシウムも各所で欠かせない。部品が1つ欠けると、流れ作業はそこで詰まる。
分子栄養学では、クエン酸を足すより部品をそろえるほうが回路はよく回ると考える。分子栄養学は、ざっくり言うと栄養の量を整えて体の不調に向き合う考え方だ。私が狙う場所を変えたのも、分子栄養学に出会ったからだ。
マグネシウムについては、デイヴ・アスプリーが、休んでも取れない疲れや寝つきの悪さを不足のサインに挙げている。論文で確かめられた話ではなく、アスプリーの見解だ。
私は2019年からマグネシウムを続けている。寝つきの悪かった私の睡眠スコアは、70点台から80点台に上がった。いくつもの方法の合わせ技だが、マグネシウムはその柱の1つだと感じている。
ビタミンB群が体内でエネルギーを生み出すときには、300種類以上の酵素の働きを支えるマグネシウムも欠かせないため、B群を足しても疲れが抜けない人はマグネシウム不足を疑ってみる価値がある。不足のサインや1日の摂取量の目安、吸収されやすいサプリの形の選び方は、こちらの記事で具体的にまとめた。


では、なぜ部品が足りなくなるのか。分子栄養学では、現代人の多くが質的栄養失調だと考える。要するに、お腹は満たされているのに、体の材料が足りていない状態だ。
もう1つ、エイムズの説と呼ばれる考え方がある。ひとことで言うと、体は栄養の使い道に順番をつけているという説だ。
栄養が足りないとき、体は今日を生きるための働きに栄養を優先して回し、長い目で見た健康の手入れを後回しにする。大きな不調がなくても、なんとなくずっと疲れているなら、体が節約モードで回っているサインかもしれない。
もちろん、疲れの回復には睡眠と休養も欠かせない。ただ、眠っても抜けない疲れなら、材料不足を疑いたい。
疲れ対策にはビタミンB群とビタミンCを十分な量で
ここからは私が疲れに手応えを感じているビタミンCとビタミンB群の使い方だ。
ビタミンCは、毎日1〜3gを使っている。国の推奨量は欠乏を防ぐための最低ラインで、個人的には全然足りないと思っている。
ビタミンB群は、においがきつい。水を先に口に含んでから一気に流し込んでいる。それでもやめないのは、飲まない日との差を体で感じるからだ。
私の健康の土台は、精神科医の藤川徳美先生の理論だ。藤川先生は、エネルギーを作る栄養の組み合わせをATPセットと呼んでいる。
ATPセットはエネルギーのもとを作る栄養の詰め合わせだ。中身は次のとおり。
- 土台:タンパク質
-
藤川理論では、プロテインを1回20g、1日2回とる。ほかのすべての栄養が働くための土台になる。
- 鉄
-
エネルギーを作る工程の各所で使われるミネラル。女性は月経で失いやすく、特に不足しやすい。
- ビタミンB群
-
クエン酸回路の反応を進める相棒役。8種類がチームで働くので、まとめて摂るのが基本になる。
- ビタミンCとビタミンE
-
エネルギーを作る過程で出るサビ(活性酸素)から体を守る役。ビタミンCは鉄の吸収も助ける。
1つ守りたい線がある。ビタミンEのような脂にとける栄養は、体にたまりやすい。水にとけるB群やCと同じ感覚で量を増やさないようにしている。
量は、体の反応を見て合わせるのが分子栄養学のやり方だ。多ければ良いわけではない。少なめから始めて、手応えがあれば続け、合わなければ減らす。
鉄だけは、感覚より検査が近道だ。血液検査でフェリチン(体にためてある鉄の量を示す数値)を確かめてから始めると、足りない分を狙って補える。私は今、鉄は足りている状態なので毎日は摂っていない。
お金をかけるならクエン酸よりエネルギーを作る材料に
疲れ対策が目的なら、お金をかける先はエネルギーを作る材料だ。
クエン酸のサプリは、運動の場面なら使い道がある。慢性的な疲れを狙うなら、選ぶサプリが違うだけだ。
ATPセットを組むなら、まず候補になるのはビタミンB群だ。以前、藤川理論のやり方をまとめたときにも紹介した。
| 商品名 | Now Foods B 50 |
|---|---|
| 内容量 | 250 veg capsules |
| こんな人に | 眠っても抜けない疲れを、材料から見直したい人 |
| 選ぶ理由 | クエン酸回路の反応を支えるビタミンB群を、1粒でまとめて摂れる。藤川理論のATPセットの中心になり、250粒入りなので体の反応を見ながら長く続けやすい |
鉄は、フェリチンで不足がわかった人向けだ。同じメーカーから、1粒の量が違う2つのタイプが出ている。
| 商品名 | Now Foods Iron Double Strength 36 Mg |
|---|---|
| 内容量 | 90 veg capsules |
| こんな人に | 検査で鉄不足がはっきりわかった人 |
| 選ぶ理由 | エネルギー作りに欠かせない鉄を、1粒36mgでしっかり補える。藤川理論のATPセットの鉄として紹介してきたタイプ |
Now Foods Iron Double Strength 36 MgをiHerbで見る
| 商品名 | Now Foods Iron 18 Mg |
|---|---|
| 内容量 | 120 veg capsules |
| こんな人に | 少ない量から鉄を始めたい人 |
| 選ぶ理由 | 1粒18mgと36mgタイプの半分なので、体の反応を見ながら量を細かく合わせやすい |

私は低用量のサプリを選ぶことが多い。量を体の状態に合わせて動かせるからだ。鉄は特に、検査の数値を見ながら少しずつが安心だ。
栄養を見直しても「やる気が出ない」ときはストレスに対処するアシュワガンダや、気力を支えるL-チロシンが選択肢になる。高麗人参・冬虫夏草・ムクナを含めた5つのサプリの特徴を、こちらで紹介した。


クエン酸に関するよくある質問をQ&A形式で回答


最後に、クエン酸についてよく聞かれる質問に短く答えていく。
クエン酸は疲労回復に即効性がありますか?
酸っぱさでシャキッとする感じは、一時的な反応だ。疲れが取れたサインとは限らない。研究はどれも、毎日続けて飲んだうえで疲れた感じを調べていた。続けて様子を見る使い方が向いている。
疲労回復にはクエン酸とアミノ酸のどちらがいいですか?
運動中や運動後の補給なら、どちらにも使い道がある。慢性的な疲れが悩みなら、私の答えはタンパク質とビタミンB群だ。アミノ酸はタンパク質の部品なので、プロテインで土台を作るのが近道だと考えている。
クエン酸入りのゼリー飲料や飴、炭酸水は意味がある?
運動のときの補給や、気分の切り替えには使える。ゼリー飲料なら1袋にクエン酸2,700mgが入った機能性表示食品もある。
クエン酸が多い食べ物は?梅干しやレモンで疲れは取れる?
レモンや梅干しなど、酸っぱい果物や漬物に多い。ただ、梅干しで研究の量に届かせるのは、塩分を考えると現実的ではない。
クエン酸サプリは選ぶ価値がある?
運動の前後に使うなら選ぶ価値はある。疲れ全体が悩みなら、同じお金はビタミンB群や鉄に回したい。
クエン酸は夏バテに効く?
夏バテとクエン酸を直接調べた研究は見当たらない。酸っぱさで食が進むなら、食事と一緒に使うのはありだ。夏の食欲が落ちる時期ほど、ビタミンB群と疲れの関係を見直す価値がある。
掃除用のクエン酸は飲める?どこで買える?
飲むなら、パッケージに「食品添加物」や「食用」と書かれたものを選ぶ。掃除用として売られているものには、口に入れることを想定していない商品があるため注意しよう。
クエン酸は肝臓に悪い?お酒と一緒に飲んでいい?
目安量で体に悪いことが起きたという報告はないが、肝臓に良いという根拠も見当たらない。お酒の疲れをクエン酸で消そうとするのはおすすめしない。
クエン酸第一鉄は疲れに効く?
クエン酸第一鉄は貧血の治療に使われる鉄の薬だ。名前にクエン酸が入っているが、クエン酸のサプリとは別物である。処方されている人は、自己判断でほかの鉄を足さず主治医に相談してほしい。疲れの原因として、鉄不足と疲れの関係を知っておくと役立つ。
クエン酸は風邪に効く?
クエン酸が風邪に効くと示した研究は見当たらない。同じ酸っぱい飲み物を選ぶなら、私はビタミンCを選ぶ。
クエン酸とお酢(酢酸)は何が違う?
別の成分だ。お酢の酸っぱさの主役は酢酸で、クエン酸は柑橘や梅に多い酸である。この記事で紹介した研究はクエン酸についてのものだから、混同しないようにしよう。
おわりに:疲れは栄養で変えられる


クエン酸は味が好きなら、運動のお供にするなら続けていい。
ただ、疲れそのものにアプローチしたいなら、狙う場所をエネルギーを作る材料に移してほしい。
結論を言うと、今日からビタミンB群を足して、体の反応を見てみてほしいということ。
朝の重さや夕方の電池の残り方をメモしておくと、3週間後の自分が答えを教えてくれる。あなたの疲れが、今日より少しでも軽くなりますように。
免責事項:この記事は情報提供を目的としたもので、医学的なアドバイスではありません。記載内容は厚生労働省の評価を受けたものではなく、紹介している製品は病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。持病のある方、通院中・服薬中の方、新しい健康法を取り入れる前には、医師などの専門家にご相談ください。



