- WHM呼吸法のやり方を詳しく知りたい
- WHM呼吸を3年続けたらどうなるか知りたい
私が尊敬する人の一人にヴィム・ホフ(Wim Hof、1959年4月20日 )というオランダ人のおじさんがいます。2023年現時点で64歳です。そんな彼は、こう言います。
私にとって寒さは神だ。私は寒さに耐えるのではなく、寒さを愛しているのだ。
ヴィム・ホフ
実際、ヴィム・ホフは寒冷に関する20以上のギネス記録をもち、「アイスマン (The Iceman)」の通称で知られています。
しかも、彼の身体は、低温だけでなく、高温にも耐える能力をもちます。
つまり、ヴィム・ホフは体の状態を環境に適応させるスペシャリスト。2文字で伝えると「超人」です。
でも、私たちもこの超人に近づく方法があります。
それがWHM(ヴィム・ホフ・メソッド)です。(以後、本文中はWHMとする)
WHMは3つの柱からなります。
- 呼吸法
- 寒冷暴露
- マインドフルネス
そこで本記事では「呼吸法」にフォーカスし、そのやり方を徹底的にシェアしたいと思います。
ヴィム・ホフのような超人に憧れている方にとっては何かしらのヒントを得られるかもしれません。

彼の健康法は、テニスのノバク・ジョコビッチ選手(35才)やモデルのミランダ・カー(39才)といったアスリートやセレブたちが実践していると発言し、注目を集めている。
そもそもWHM(ヴィム・ホフ・メソッド)を考案したヴィム・ホフとは?
ヴィム・ホフ(Wim Hof、1959年4月20日 )は2023年現時点で64歳のおじいさんです。
彼は、常人には異常としか思えない挑戦を次々とクリアしており、なんと20個ものギネス記録を持つ、正真正銘の超人です。
例えば以下のような記録を持ちます。
- 2000年:厚い氷の下を57.5m泳いだ(初日は50mほどで角膜が凍ってしまい、出口が見えなくなりレスキューダイバーに助けられて失敗。しかし、翌日ゴーグルをつけて再挑戦したらクリア!!)
- 2007年:北極圏直下の街フィンランド・オウル市の雪の中を裸足でハーフマラソン(約21km)を完走した(2時間16分)
- 2007年:キューブ状の氷で満たされたコンテナの中に顎まで70分35秒浸かる(2015年には112分42秒まで更新)
- 2007年:海パンとサンダルでエベレストを標高7400mまで到達した
- 2011年:ナミブ砂漠(摂氏40度)で水を一滴も飲まずにフルマラソン(約42km)を完走した瞬間にビールを飲んだ。(その過程で14キロも体重が減ったそう)
- 2014年:26人の海パン姿のグループでキリマンジャロ(5,892メートル)を登頂した
彼についてもっとよく知りたい方や、WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)の体系的な仕組みを知りたい方は、「WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)の3つの柱を完全解説【超人ヴィム・ホフの功績も紹介】」をご覧ください。
WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)呼吸法のやり方【5STEP】


ここで、私たちがヴィム・ホフに近づくためにできることがWHM呼吸法です。
そのやり方はいたってカンタン。
瞑想のように座禅を組んでもいいですし、横になってもOKです。自分がやりやすい態勢でチャレンジしましょう。
無理をしすぎず鼻(または口)から深く息を吸って、リラックスして口から息を吐く。吸うときのポイントは、腹、胸、脳の順番で空気を満たすようなイメージをもって吸い込む。吐くときは、脱力して自然に90%ほどの息を吐き出す。(肺には空気を10%以上残すイメージ)
STEP2を最も気持ちよく感じる速度とリズムで30回繰り返す。最後の1呼吸は、大きく吸ってから限界まで吐く。肺に空気を残さないイメージで。
最後の1呼吸で息を吐ききったら、あごを引いて息を止める。体の声を聴きながら無理はしないこと。そして、息を吸わずにいられなくなったら大きく息を吸い込む。
STEP4で息を大きく吸い込んだら、そのまま息を止めて10~15秒ほどキープする。その後、脱力して息を吐きだす。
上記STEP1~5までで1セットです。これを最低3セット行います。
ちなみに、これを日本語のナビ付きで動画化(公式)されたものがあります。
ただし、動画という都合上、息を止める時間や吸うタイミングが固定なので、自分のペースで取り組めないというデメリットがあります。その対策として、早送りや一時停止を駆使してください。
WHM呼吸法に慣れていない初心者にとってはもってこいのコンテンツです。



しかもWHM呼吸法のコースは一生無料だ!(多分)
WHMの全体像についてもっと知りたい方は、こちらの本に詳しく書かれています。


WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)呼吸法で役立つ豆知識


WHM呼吸法をやるにあたり、知っておきたい豆知識をいくつかシェアします。
- 口呼吸でもいい:鼻づまりなどで鼻呼吸ができない場合は、口呼吸でOK。
- 腹、胸、脳の順番で息を満たす:息を吸うときは「腹、胸、脳」という合図を使い、肺をすべて使うように意識する。
- 身体を全体をリラックスさせる:顎と首、肩の筋肉を意識的にリラックスさせる。そうしないと、緊張性頭痛が起こるかもしれない。事前にボディスキャン瞑想をしておくとカンタンになる。
- 競争心を捨てる:30回目の呼吸をどれだけ長く止めるかは問題ではない。長い目で見ること。
- マインドフルネスに行う: 体に出入りする呼吸だけに集中する。この練習中に生じる感覚や思考に気づくが、執着せず、ただ受動的に観察する。
- 週5回以上がベスト:健康の改善が目的なら週5回以上がベストとされている。
- 呼吸のあとに冷水シャワーがラク:冷水シャワーをやる前に呼吸法をすることで、事前に体が温まり、楽に冷水シャワーをクリアできる。(関連付けることで習慣化しやすい)
- 朝がもっともおすすめ:朝に呼吸法を行うことで、日中のエネルギーが向上する。そして、深い呼吸で、質の高い睡眠を楽しむことができる。



これらをすべて考慮して行うことができればもう上級者。
WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)呼吸法を3年続けた結果


WHM呼吸法を3年続けた結果、個人的には以下のような効果を実感しています。
- 声に覇気を取り戻せた
- やる気と集中力が高まった
- 冷水シャワーの難易度が下がった
- マインドフルな状態に入りやすくなってストレス激減した
- 最大酸素摂取量(VO2MAX)の上昇により全身の総合力がアップした



これらの効果は私だけでなく、多くの実践者が経験していることのほんの一部だ。他のメリットはあなたの肌身で感じてほしい。
声に覇気を取り戻せた
精神的に追い詰められていた時期、人と話すことすら億劫になるほど呼吸が浅くなっていました。
具体的には、喉につっかえるような声、腹から出ていない、喉の上から吐き出すような声しか出せなかったのです。
そのせいで声に全く覇気がなく、か細くて頼りないような声質になってしまいました。自信を持って話すことができず、コミュニケーションにも支障をきたしていたのです。
しかし、WHM呼吸法を実践したおかげで呼吸が深くなり、心に余裕が生まれました。呼吸が深くなることで、声帯を十分に振動させ、腹式呼吸を活用した「しっかりとした発声」ができるようになったのです。



このことから、WHM呼吸法は「心」も強くしてくれるということを強調しておきたい。
やる気と集中力が高まった
WHM呼吸法では、短期的な低酸素状態を作り出すことで、細胞レベルで体に適度なストレスを与えます。
このタイプのストレスはホルミシスと呼ばれ、体を適応させ、強化し、回復力を高める「良いストレス」の1つです。
ホルミシス効果により、体内でさまざまな生理学的変化が起こります。
特に、交感神経系が活性化され、ノルアドレナリンやドーパミンといった神経伝達物質の分泌が増加。これらの物質は、覚醒度を高め、集中力を向上させます。
実際に、WHM呼吸法を始めてから、私は物事に取り組む際の心構えが大きく変化しました。
以前は、朝起きてからスイッチがなかなか入らず、行動に移すまでに時間がかかっていました。
しかし、今ではWHM呼吸を優先的にやることで、「よし、やるぞ!」という気持ちが自然と湧き上がります。



このやる気の向上は、日常生活のあらゆる場面で恩恵をもたらしている。仕事での生産性が上がり、新しいことへの挑戦も以前より積極的に行えるようになった。
冷水シャワーの難易度が下がった
低二酸化炭素は血液をアルカリ化し、痛みの閾値を上げる(痛みに鈍くなる、強くなる)なります。つまり、冷水シャワーのような寒冷暴露がカンタンになるのです。
ほかにも、2014 年の Kox et al. 研究では呼吸法によって「アドレナリンの顕著な増加」が報告されました。
アドレナリンには、痛みに対する耐性の向上、抗酸化レベルの増加、循環の改善、細胞への酸素の供給量の増加、精神機能の鋭敏化など、多くのプラスの「副作用」が生じる可能性があります。
これらの働きによって冷水シャワーの難易度がグっと下がるわけです。



呼吸法をしないで冷水シャワーをやるのと、してからやるのとでは難易度が天と地ほどの差がある。だからセットでやるのが基本。すると、どちらも自然に習慣化された。
「あ、呼吸やったから冷水シャワーしよ」みたいな感じ。
マインドフルな状態に入りやすくなってストレス激減した
WHM呼吸法を実践していると、呼吸に集中するあまり、他のことを考えられなくなります。
息を「吸いまくる、吐きまくる、止めまくる」という一連の流れに意識が向くため、まさにその瞬間はマインドフルな状態そのものです。
そして、呼吸法が終わったあとも、呼吸が深くなっているおかげで、マインドフルな状態が持続します。普段よりも深い呼吸が続くことで、心が落ち着き、今この瞬間に意識を向けやすくなるのです。
また、WHM呼吸法で培った深い呼吸のおかげで、何かあっても動じなくなりました。ストレスフルな状況に直面しても、深呼吸を思い出すことで冷静さを保ち、状況に適切に対処できるようになったのです。
これは、WHM呼吸法が自律神経系に直接働きかけ、交感神経と副交感神経のバランスを整えることで、心身のリラックス効果をもたらすためです。
結果として、「今ここ」に一瞬で戻れるようになりました。



WHM呼吸法と並行して行う冷水シャワーのように、一見「ハードなこと」をあえてやることで、他のことが「イージーモードになる」という効果も感じている。
実際、会話のストレス、緊張ストレスなどが減ったことを実感している。
最大酸素摂取量(VO2MAX)の上昇により全身の総合力がアップした
普段、私たちは無意識のうちに「最小限」の呼吸をしています。
しかし、WHM呼吸法では「最大限」の呼吸を行います。
約10~20分の激しい呼吸は、胸郭や横隔膜を大きく動かすため、呼吸器官の柔軟性が向上します。これは最大酸素摂取量(VO2MAX)を上げるのに効果的です。
最大酸素摂取量(VO2MAX)は、心臓のポンプ機能や血液運搬能力、骨格筋の機能、肺拡散能力などが関連する全身組織の総合力を表します。この数値が上がることで、体内で二酸化炭素をより効率的に排出できるようになり、赤血球が運び込む酸素量も増加します。
その結果、筋肉の収縮運動の持続力が上がり、筋肉中の毛細血管が発達し、筋肉に取り入れる酸素量が増加するなど、さまざまな恩恵を得ることが可能です。
アメリカ心臓協会(AHA)では、喫煙や高血圧よりも心肺機能が低いことの方が、死亡リスクを予測する指標として有力だとしていることからも、WHM呼吸法の有効性が裏付けられています。



私の元々の肺活量は標準的な4Lほど。そんな私もWHM呼吸法を3年やったところ9Lにまでなった。HIITで息が上がってしまうことはほとんどなくなった。今では3分以上息を止められるぞ。
WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)呼吸法の注意点と禁忌


WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)呼吸法をすると、手足がしびれてきたり、身体がムズムズしたり、頭がくらくらしたり、くたびれたと感じたりすることがあります。しかし、これは健康な人であれば問題ない生理的な反応です。
しかし、注意点として必ず安全な姿勢と場所で行ってください。
なぜなら、「WHM呼吸法」を真剣にやると失神する人がいるのも珍しくないからです。
特に、失神するときに気を付けるべきは、「場所」です。例えば、お風呂の中やその周辺、自動車の運転中は、絶対に呼吸法の練習をしないでください。死亡する危険性があります。(失神だけで命を落とすことは稀です)
また、WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)は、以下のような既往歴のある方にはお勧めできません。
- 発作
- 喘息などの呼吸器系疾患
- 脳卒中
- 高血圧または低血圧
- 妊娠中の方
実際、2019年、63歳の海外女性がサウナのなかで「WHM呼吸法」を再現しようとして死亡しました。この女性には心臓発作の既往があり、その死は熱への曝露やヴィム・ホフ法の実践などの要因が重なったことが原因と考えられています。(別のケースでは、40歳の男性がこの方法を実践中に心臓発作を起こして入院しました。)
WHM(ヴィム・ホフ・メソッド)呼吸法に関するQ&A


- WHM呼吸法は本当に健康に良いの?
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ヴィム・ホフのさまざまなメソッドに対して、研究がすすめられており、現在では心臓血管の健康を改善し、免疫反応を強化し、ストレスレベルを下げることが証明されています。
- 寝る前にヴィム・ホフ呼吸法を行ってもいいの?
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WHMをやると自然と普段の呼吸が深くなるので、眠りの質が改善されます。しかし、寝る3時間以内にはあまりおすすめできません。なぜなら、WHM呼吸は交感神経のスイッチをオンにするパワーが強く、ドーパミンも生成されるからです。つまり眠れなくなる可能性があります。できるだけ朝か昼に行いましょう。
- WHMをやると眠くなるけどなんで?
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呼吸の仕方によっては脳に酸素が行き届かなくなる場合があり、そうなると眠くなります。吸った以上に吐いたり、限界以上に空気を吸うのを我慢すると、人間の反応としてオフスイッチがオンになります。結果的に眠くなるのです。
- WHMをやると手足がしびれるんだけど大丈夫?
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WHMをやると、手足やほっぺがピリピリしてくることがあります。このピリピリ感は、持病がない限り無害で、1分程度おとなしくしていれば消えます。呼吸のペースを速めると起こりやすくなるようですが、続けていくうちに頻度が下がるはずです。
最強の呼吸法を手に入れて最高のパフォーマンスを手に入れよう!


超人的な記録を持つヴィム・ホフが考案したWHM呼吸法は、文字どおり、あなたの人生を変える潜在力を秘めています。
WHM呼吸法をマスターすれば、私と同様に、あなたの物事に対するモチベーションがどんどん高まる集中力と精神力もアップします。眠りの質も改善され、日を追うごとに生産性とパフォーマンスが向上することを実感するでしょう。
WHM呼吸法で最大の効果を出すには、週に5回以上やること、冷水シャワーも併せて取り組むことです。
さあ、自分の可能性にチャレンジするために、まずはこの最強の呼吸法という武器を手にしましょう。