- タバコは5000種類以上の化学物質が含まれ、その多くには害がある
- しかし、タバコに含まれるニコチンにはデメリットよりもメリットが大きい
- そのことからタバコを吸わない方向でニコチンを補給する方法を掘り下げる
注意:この記事はタバコを推奨するものではありません。本日のライフハックは「喫煙者」か「固い意志を持つ元喫煙者」の方のみ対象です。
今回の記事では、一般的に悪い評判が立っているニコチンについて紹介します。そもそも「ニコチン=タバコ」というイメージが強いですよね。しかしそれは大きな誤解です。
ニコチンはタバコの煙に含まれる5,000種類以上の化学物質のひとつに過ぎません。つまり、タバコの害はニコチン以外の化学物質によることが大きいということです。
逆に、タバコを吸わずにニコチンを補給できれば、カフェインと同様にあなたの生産性をアップするスマートドラッグになってくれるということです。
とはいえ、ニコチンによる依存症の心配やそもそも安全性が気になるという方も多いでしょう。ここでは、ニコチンによるパフォーマンスの浮き沈みを防ぐ方法や、ニコチンで生産性を爆上げする実用的かつ安全なヒントを紹介しますので安心して読み進めていただければと思います。
ニコチンとは?まずは一般的な意味を理解する。
ニコチンを調べてみると以下のように書かれています。
ニコチンは、タバコの葉に含まれるアルカロイドの一種で、神経毒性が強く、化学物質として毒物に指定されています。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-034.html
しかし、この文章には足りない文言があります。ニコチンが含まれるのはタバコの葉だけではありません。
なんと、カフェインと同様に、ニコチンも植物が生産する防御機構の一つなのです。実際、カフェインとニコチンは同じ化学物質の仲間であり、多くの植物がニコチンを生産し、葉に蓄えています。(トマト、ジャガイモ、ナスなど)
ニコチンは苦く、摂取量が多い場合には有毒で、空腹の動物を寄せ付けない効果があるのです。ニコチンは小動物にとっては有毒ですが、人間にとっては許容量を守れば、メリットを受けることができます。
次にそのメリットについて詳しく見ていきましょう。
ニコチンのメリットは、協調性、警戒心、記憶力、反応速度を高めること。
過剰なニコチンはさきほど引用したとおり「有害」です。しかし、適切な量を摂取すれば、ニコチンはあなたに以下のようなメリットを与えてくれます。
- 運動機能がより速く、より正確になる
- 注意深さと忍耐力を上げる
- 短期記憶が向上する
- 反応速度が速くなる
- 食欲を抑える
それでは、それぞれのメリットを研究論文ベースで見ていきましょう。
メリット1:運動機能がより速く、より正確になる
ニコチンを摂取した人は、よりコントロールされた流暢な手書きの文字を書く[*] また、正確さを犠牲にすることなく、より速くタッピング(指でキーボードをたたく)できるようになります[*]。このことから、ニコチンが非喫煙者の単純な運動課題のパフォーマンスを大幅に改善できることを示しています。ただし、カビは指を叩く速度を遅くするようです。タバコにはさまざまなカビが含まれているため、ニコチンのメリットは相殺されます。
具体的な恩恵としては、手先の細かい作業や、タッチタイピングなどのキーボード操作が必要な作業などで効果を発揮します。ほかには、正確性が必要なスポーツ(ダーツやビリヤード等)や音楽(ピアノやギター等)のパフォーマンスが向上することがあげられます。
ある情報によると、過去200年間の偉大な文学作品の約99%は、コーヒーやニコチンの影響下で書かれたというものだという。
メリット2:注意深さと忍耐力を上げる
ニコチンパッチを使用した参加者は、何も使用していない参加者よりも、長く精神的に疲れるタスクに注意を払うことができました[*][*]。 ニコチンガムでも同様の実験データがでました[*][*]。このことから、ニコチンには注意深さと忍耐力を上げる効力があることが示唆されています。
これらの能力が上がると、仕事や学校でのプレゼンテーションなどの大事な場面で、注意深く聞き手の反応を見て、相手に適切なアプローチができます。また、忍耐力があると、難しい課題に取り組んで諦めずに最後までやりきることができ、成功する可能性が高くなります。
メリット3:短期記憶が向上する
ニコチンを摂取した人は、読んだばかりの単語のリストをよく思い出しました。また、摂取していない人よりも間違いが少なかった[*][*][*]。このことから、ニコチンを摂取すると、短期記憶が向上することがわかりました。
これはいいこと盛りだくさんです。例えば試験勉強をするときに勉強したことをすぐに思い出せるので、成績が上がるかもしれません。また、会話の中で相手が言ったことをすぐに覚えておくことで、コミュニケーションがスムーズに進みます。さらに、新しいことを学ぶときも短期記憶が重要です。短期記憶を繰り返すことで長期記憶に定着します。
メリット4:反応速度が速くなる
ニコチンを注射すると、(例えば、ランプが点滅したらボタンを押すなどの)視覚的な合図に対してより速く反応するようになります。[*]これは喫煙者も非喫煙者も同様の結果が得られました。(実験ではニコチン注射でしたが、ガムやパッチでも同様の結果が得られるでしょう。)
これが役立つケースとしては、ゲームやスポーツなど反応速度が勝敗を分ける場合でしょう。私の好きなAPEX(シューティングゲーム)を例にするなら、敵を見つけたらすぐに打つなどの索敵能力が上がりそうですね。ほかにも、交通事故を避けるために、急ブレーキを踏む必要がある時や、急なトラブルが起こった時に素早く対処する必要がある時などが挙げられます。
メリット5:食欲を抑える
ある無作為化二重盲検試験では、低用量のニコチンガムとカフェインを組み合わせることで食欲抑制が強化されることが示されました[*]。このことから肥満の予防にニコチンが利用できることが示唆されました。(実験ではニコチン2mg、カフェイン100mgを使用)
タバコをやめたら食欲が出てきて10kg太ったなんて話を聞きますが、これは実体験としてもわりと事実。ダイエットをしたいけど食欲が止まらない人の味方ですね。また、食欲を抑えることで、脳内の報酬系に働きかける物質の分泌が減少するため、食べ過ぎや過剰な飲食によるストレスが軽減されることもあります。
ニコチンのデメリットは中毒性。こいつを攻略できなければ本格導入は厳しいです。
ニコチンの欠点はいくつかありますが、最も有名なのは中毒性があることです。ニコチンは快楽経路である中脳辺縁系ドーパミンを活性化させます。
ただし、あまりにも頻繁に快楽を追求すると、この中枢の経路がマヒし、快感を得るためにはますます強い刺激が必要になるのです。(これが依存症の始まり)
このループに入ると、ドーパミンを活性化することがますます困難になります。
2007 年の依存症研究では、20 種類の一般的なレクリエーショナル ドラッグが 0 から 3 のスケールでランク付けされ、スコアが高いほど依存症のリスクが高いことが示されました。タバコは、コカイン (2.39) とヘロイン (3.00) に次ぐ2.21 のスコアで、全体で3番目に中毒性の高い薬物でした [*]。
ただし、この研究の参加者がタバコを吸っていたということに注目することが重要です。
タバコに含まれるニコチンは、わずか数秒で 15 ~ 20 mg を放出し、快感中枢に「無数の花火」を打ち上げ輝かせます。
一方、ニコチンガムなどの他の形態は、20 ~ 30 分で 2 ~ 4 mg しか放出されないため、前述したような多幸感を得ることができません。つまり、タバコに含まれるニコチンは、非常に高い濃度で一気に摂取された場合にのみ、中毒性が高いと言えます。
(高容量の)ニコチンには、他にもいくつかの問題点があることが指摘されています。
- ニコチンがマウスのがんを促進した [*][*]。
- ニコチンは、がん細胞の成長や広がりを加速する可能性がある[*]。
- 21mgのニコチンパッチは、ある研究で参加者の心拍数と血圧を上昇させた[*]
- ニコチンは抗炎症タンパク質であるインターロイキン-10を阻害し、炎症を増加させた[*]
このことから導き出す最も重要なことは、ニコチンは高用量で摂ることで「毒になる」ということです。使い過ぎると病気になる可能性があります。
このようなデメリットがあるので、ニコチンを使用する場合は、ごく少量(1~2mg)を、必要に応じて時々使用することをお勧めします。私は過去4年間に何度かニコチンを使用し、さまざまな形態を試しましたが、定期的に使用するものではありません。一時的なブーストに役立ちます。
快楽は両刃の剣だ。それはニコチンに限った話ではない。食べ物、エロ、アルコール、カフェイン、スマートフォン、ギャンブルなど、あらゆるものはドーパミンを送ってあなたを至福の世界へと導く。
どれも過剰になると、普通の量じゃ満足できなくなる。こうなると、どんなものでも「依存症」と診断されるだろう。
ニコチンのベストな摂取方法
ニコチンを向精神薬として使用する場合、何を選択するか迷うことがあります。タバコを吸う、噛む、ガム、スプレー、パッチ、トローチ、VAPEなど、多くの選択肢があります。
結論からいうと、ニコチンのベストな摂取方法はニコチネルが販売しているニコチンパッチかニコチンガムです。それぞれの説明をカンタンにさせていただきます。
ニコチンガム
ニコチンガムは、ガムを噛むことでニコチンを摂取します。20~30分かけて2~4mgしか放出しないため、多幸感を得ることはできませんが、前述したニコチンのメリットは得ることができます。
コスパなら圧倒的に「ミント」!でも3つのなかでは味はいちばんビミョー。
味は「マンゴー」がダントツで美味しい!でもいちばん高い。
「スペアミント」は味とコスパのバランス選手。
ニコチンパッチ
ニコチンパッチは、ガムとタバコの中間のようなものです。ガムよりも多くのニコチンが含まれていますが、一日中ゆっくりと皮膚から吸収するので、集中力とエネルギーを得ることができます。ニコチンガムと同じく報酬系をあまり刺激しないので比較的安全です。こちらから得られるエネルギー量は高く、安定しています。使用量に気をつければ、効果的な向精神薬になります。
ニコチン35mg
ニコチン17.5mg
他の摂取方法(電子タバコ、紙タバコ、噛みタバコ)は基本的にNG!
他のニコチン摂取方法は依存症を招く危険性があるため基本的にはNGです。ただし、現在タバコを吸っている方であれば、上手に使うことで恩恵を得ることができるかもしれません。
電子タバコとベイプは、議論の余地があります。使用により、安全性についてはまだ議論が続いていますが、紙タバコと噛みタバコよりはマシだと言われています。ただし、使用する際には、重金属のナノ粒子について十分注意し、自己責任で判断するようにしましょう。(体調が悪くなったり喉がイガイガしたりするならそれらの物質が関与している可能性があります)
最後に、紙タバコと噛みタバコです。紙タバコは、がんや悪臭の問題があり、多くの理由で悪い選択とされています。噛むタバコは、左記に加えて顔面癌の原因になることがあります。タバコのカビには、発がん性の高いカビ毒であるアフラトキシンB-1が含まれており、極めて危険です
健康を害さずに向精神作用を得るなら、ニコチンガムかニコチンパッチの導入を検討しましょう。
おわりに:自分で決めた摂取量は必ず守ってライフハックを目指そう!
本日紹介した方法は、非喫煙者には全然おすすめしません。
ガムにしろパッチにしろ使い方を間違えると依存症を引き起こす可能性がゼロではないからです。
私は元喫煙者ですが、業務でストレスが高まるタイミングに1粒だけ使用しています。もちろん、それ以上はいかなる理由においても禁じています。これ以上摂ると依存の危険があると自覚しているからです。(もし2粒食べなければいけない状況になったらこのライフハックはやめようと思っています。)
なので、私と同じようにニコチンでライフハックを試みるなら、どうか慎重に取り扱ってください。
最も安全な使い方は「とん服」的に使用すること。つまり、バッグに忍ばせておいて「その場しのぎ」で摂取することです。大事なプレゼンやスピーチの前、試験や面接の前など、より冷静かつシャープになりたいときだけ使うのです。
ニコチンは強力なライフハックですがたまに打てる必殺技です。頻発するものではありません。適切な使用量を守り、健康に注意しながら使用することが大切です。
ぜひ、自分に合った向精神薬を見つけて、ストレスの多い日々を乗り切りましょう!